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トルコタイルは、”中国物”

トルコ語で、壁面を飾る装飾タイルの事を一般に ”Çini (チニ)”  と言います。
もともとペルシャ語で Çin = 中国、 Çini = 中国の物。

日本でも昔、中国から来た品々を ”唐物” と呼んで珍重していたのと同様で、
オスマン朝時代の人々にとっても、中国から運ばれてきた陶磁器は貴重で
憧れの”中国物”だったのですね。

中国陶磁器が手に入るようになり、時が経つにつれて、白地に文様が描かれた
焼き物の事をチニと呼ぶようになったようです。


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           (エディルネ、ムラディエモスクのミフラブの一部)

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          (イスタンブル、トプカプ宮殿所蔵 元代磁器)

本当によく似ています。特にザリガニのような葉っぱがそっくり!
当時のタイル職人さん達は、中国の陶磁器文様を一生懸命真似て、自分のものに
しようと励んでいたのでしょう。

私は、オスマン朝時代に作られた中国風イズニックタイルをコピーしてみました。
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ゲブゼにある チョバン・ムスタファパシャ廟のタイルです。
白地に青、落ち着いていいですね。
by ateliercinicini | 2010-09-05 19:39 | 様式・文様・技法の話 | Comments(2)
Commented by orientlibrary at 2010-09-08 09:15
こんにちわ。トルコではタイル全般のことをチニというんですね。ウズベクでは、磁器(磁器系、磁器風)をチニと呼んでいると思います。ティムールの時代からチニを作りたくて一生懸命だったんですが、そのうちにチニ的な肌合いのものができてきたようです。
タイルは「コーシン」というと聞きましたが、地方によって違うかもしれません(言語がいろいろですので)。カシャーンからきているような気がしますが、あくまで想像です。
元との関わりは本当に興味深いです。
こちらでいろいろ勉強させていただきたいです!どうぞよろしくお願いいたします。
Commented by ateliercinicini at 2010-09-09 04:44
おりえんとさん、こんにちは。ようこそ!
磁器=チニと言い方は、トルコに比べてウズベクの方が、中国磁器の流通量が多くて、中国へより近い事を感じさせて面白いですね。
中央アジア→イラン→トルコ と遠くに行くほど、意味がぼやけてしまったり、変わってしまったりて伝言ゲームの様で面白いです。

トルコでのタイルの呼称については、ちょっとややこしいのですが、、、

オスマン朝では、タイルを「Kâşi(キャーシィ)」(カシャーンから来ています。ウズベクと同じですね)、お皿や壺のような立体物を「Evâni(エヴァーニィ)」と呼んでいて、いつの頃からかはっきりしないのですが、この二つまとめてチニと呼ぶようになったそうです。

そして現在は、イズニックやキュタフヤの生産者やお土産物屋さんなどでは、タイル、立体物の両方を指してチニと呼んでいますが、美術史学者は、タイルをチニ、立体物をセラミックと言います。
紛らわしいですね。困ってしまいます。
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