古典装飾様式 Rûmî - Hatâyı (ルーミー・ハターイ)様式 

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             (ルーミー・ハターイ様式のタイルパネル)

古典装飾様式のお話です。
オスマン朝宮廷様式と呼ばれるものが生まれたのは15世紀後半。
1453年にコンスタンティノープルを征服して、ようやく落ち着いて芸術活動に取り組める
環境が整えられたのでしょうね。
宮廷内に ”Nakkaşhâne (ナッカシュ・ハーネ ” と呼ばれるデザイナー工房が設立されます。ここで、写本の挿絵や装飾、書物の装丁から、絨毯やカフタン(スルタン
の衣装)、そして陶器に至るまで、全てのデザインの図案が描かれました。
このナッカシュ・ハーネで最初の宮廷様式が生まれたのです。
Rûmî (ルーミー)と Hatâyı(ハターイ)が組み合わされた、”Rûmî - Hatâyı(ルー
ミー・ハターイ)様式
” です。 
”ルーミー”と”ハタイ”各々は、オスマン朝で生まれたものではありません。
以前より、中央アジア・イランで使われていた文様で、それがオスマン朝宮廷工房へも
持ち込まれ、組み合わされて、独自の展開を見せてゆくことになるのです。
では、”ルーミー”とは、”ハターイ”とは何でしょう?

Rûmî (ルーミー) 
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これです。ルーミー。
アラベスク、イスリミとも呼ばれ螺旋を描きながら連続してゆく装飾文様です。
トルコでは ”ルーミー”と呼ばれています。

オスマン朝では、かつてビザンティン帝国であった土地に建てられたセルジューク朝、
ルーム・セルジューク朝に関するものに ”Rum” の語を使いました。
つまりオスマン朝芸術における ”ルーミー ”は、セルジューク朝アラベスク文様から
受け継いだことを示しているのです。

Hatâyı (ハターイ)  
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ハタイとは、どれと言って特別の花を指すのではなく”一般的な花”の縦割りにされた
ものを指します。
語源は中国の呼称、キタイから来ています。(キタイ(契丹)・カタイ→ハタイ)
芍薬の様な、中国風の花といった意味だったのでしょう。
そしてこの縦割り断面図のようなハタイとともに使われるのが、” Penç(ペンチ) ”。
ペンチはペルシャ語で5を意味し、花を真上から見た様を表します。
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            5弁の花びら。ペンチの基本です。
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これもハターイ。イラン・サファヴィー朝期に織られた絨毯なんですが、
中心にライオン顔があり、そこから花弁が開いてます。面白い!
それにしても、この絨毯デザイナー、勇気がありますよね。
絨毯の織手もデザイン図案を見てビックリしたに違いありません。
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by ateliercinicini | 2010-09-21 00:59 | 様式・文様・技法の話 | Comments(6)
Commented by orientlibrary at 2010-09-21 09:09
ルーミーというと、スーフィー好きの仲間の間でよく詩人ルーミーの話が出てくるので、スーフィーや旋回を自動的に連想してしまいます☆ルームからなんですよね。
トルコのタイルの本、じつは少し持っているんですが、まったく読めていません。全然勉強していないので、こちらのブログは本当にありがたいです。わかりやすく教えてくださって、写真もあって、今までパズルのピースだった事柄がつながっていくようです。私ももっとたくさん知っていきたい、と思います。
ハタイがキタイからとは、、驚きました。つながっているんですねえ。とっても興味深いです。
Commented by ateliercinicini at 2010-09-22 19:24
◆おりえんとさん
詩人のルーミーと、同じ理屈での命名ですね。
ルムの人や物だから、ルーミーって、、、とても単純過ぎる。。。
トルコのタイルについて疑問・質問があったら尋ねて下さいね。
おりえんとさんのタイル領域をトルコまで拡げて頂けると私も嬉しい。
Commented by makikoai2005 at 2010-09-23 00:44
私のような素人は、何度も観光地でジャーミーを見学していても、漫然と「きれいだなあ~」と帰ってきてしまいますが、柄の種類や、起源がわかると、面白さ100倍ですね!花模様が「キタイ(中国)」から来ているっていうのもびっくりでした。
Commented by ateliercinicini at 2010-09-23 02:50
◆makikoai2005 さん
今度、タイルをじっくり眺めて、花の枝や、渦巻きに合わせてグルグル首を回して見て下さいね。楽しいですよ!
Commented by 初めまして at 2011-12-04 03:25 x
初めまして。アンカラ在住主婦Fと申します。
実は少し前からatelierciniciniさんのブログを読ませて頂いていたのですが、ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。文化都市イスタンブールから発信されている詳細情報、とても興味深いです。私はインターネット上で絨毯等ラグを紹介&販売しているのですが、ハタイとルーミーの起源までは存じませんでしたので感心いたしました。ペルシャ絨毯のライオン&ハタイモチーフ、個人的にとても好きです。
私もブログを持っておりますのでもし宜しければ時々いらしてください。
Commented by ateliercinicini at 2011-12-05 05:34
◆ F さん
こんにちは。
ようこそ初めまして!
絨毯とタイルには、共通するデザインが多く興味深いですね。

ライオンの顔を持つハタイモチーフ、可愛らしいですよね。
絨毯全体は豪華な感じなのに、部分部分をじっと見ると思わず笑って
しまうモチーフがちりばめられていました。^^

Fさんのブログ、拝見させて頂きますね。
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