オスマン朝のブルーアンドホワイト3様式より2つ目の紹介です。 Haliç İşi(ハリチ手)。 Haliç(ハリチ)とは、トルコ語で“金角湾”のこと。 渦巻きを配したような模様をもつこのタイプの陶器は、当初イスタンブルの金角湾近辺で 生産されていたと考えられていました。 そして、実際にその地域での発掘で破片が出土した事から、『ハリチ手(金角湾手)』 と呼ばれるようになったのです。 ところが、その後の調査で、イズニックの窯跡から破片が多く出土し、主な生産地は イズニックであるという事が明らかとなりました。 一方、イスタンブルの金角湾付近の窯跡からはハリチ手の破片が見つからず、先に 出土したものはおそらく日常使いされていた製品の破片であろうと今では考えられて います。 この様に、『ハリチ(金角湾)手』もまた、ミレトス手同様に、早とちりで名付けられて、 定着してしまった名前です。 この紛らわしい名を避けて、『Helezoni Tuğrakeş (渦巻状トゥーラケシ)様式 』 という名で呼ぶケースもあります。 (スルタンのトゥーラ(花押)装飾に用いられたためです) Üç Şerefeli Camii (ユチ・シェレフェリ・モスク)1437-47 / エディルネ (アラビア文字の背景に大きな渦巻きが描かれています。) Çoban Mustafa Paşa Türbesi (チョバン・ムスタファ・パシャ廟)1528 / ゲブゼ (渦巻きが巻ききっていませんが、なんとなくハリチ手らしい。) ハリチ手によるタイルの作例は数える程しかなく、多くは皿や壷に描かれました。 (『IZNIK』 Nurhan Atasoy より) ちなみに、トルコのお土産物屋さんでは、 「このハリチ様式の渦巻き一つ一つはイスタンブルの七つの丘を象徴します。 イスタンブルの思い出として素敵なお土産ですね!」 とお話されることがあります。 そう言われると、あらっ 不思議! 渦巻きが丘に見えてくる?! 本当に旅の記念に最適に思えてくるではないですか。。。 もぅ、ホントに根拠がないのにもっともらしい話を作りあげるのが上手なんだから! 天晴れトルコ商人!拍手!!
by ateliercinicini
| 2010-11-12 04:55
| 様式・文様・技法の話
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