ババ・ナッカシュ様式、ハリチ手と続いたオスマン朝ブルーアンドホワイト3様式の話。 今回はその最後、『サズ様式』です。 サズ様式について、以前に紹介したことがありますので、今回は主に写真でご紹介。 サズ様式タイルの傑作と言えばトプカプ宮殿にある5枚のパネルです。 宮殿の一番奥にある『Sünnet Odası(割礼の間)』前壁にある、麒麟が描かれた 4枚のパネルと、花瓶から溢れ出す植物が描かれた1枚。 まずは『割礼の間』壁面の左端にポツンと一枚配された花瓶が描かれたパネル。 花瓶から伸び出し、画面いっぱいに描かれた長い葉は、サズ様式の典型です。 萩を思い起こさせるような花。 中国雲の如く先がグルグルと巻いた蔓。 サファヴィー朝(イラン)のフィルターを通ってオスマン朝へ入って来た“東洋”を 感じさせます。 次は麒麟タイル。 割礼の間入り口の左右に2枚ずつ、写真の様にタイル・デザインが反転した形で 描かれています。 4枚のタイルは、おそらく別々の人によって描かれたのでしょう。 図案は同じですが、よく見るとそれぞれ描き手の個性が出ていて興味深いのです。 このうちの一枚は、きっとデザイナー工房の長であるシャークルが描いて、他は お弟子さん達が競って描いたのだろうなぁと、想像しながら見ると楽しさが倍! 麒麟の顔は龍に似ていると言われますが、、、これは龍より可愛い、鹿の様な麒麟です。 頭に角があります。雄の麒麟でしょうか? 上の写真と下の写真、同じ鳥ですが、描手によってこんなに表現が違うのですね。 麒麟パネルはどれも、優れた手によって描かれてますので甲乙付けがたい 素晴らしさです。 それでも、“これが一番!これがシャークルの描いたものに違いない!” と思わせる一枚があります。 (単に私の好みだということで。ちなみに友人は別の一枚を選んでました。) これからトプカプ宮殿を訪れる方、麒麟パネルを見つけたら、じっくりと観察して、 ご自分の一番!選んでみて下さい。
by ateliercinicini
| 2010-11-21 21:53
| 様式・文様・技法の話
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Comments(4)
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orientlibrary at 2010-11-22 09:30
イスタンブール、トプカプ宮殿内のタイル、写真にけっこう撮りましたが、タイル写真として残している(=自分が好きで、人にもこのタイルが好き!と紹介したい)のは、バグダッドキヨスクの中のものなのですが、このデザインのものです。
とにかくこの色と模様が好きです。 好きな模様のことを知ることができて、とてもうれしいです。 最近青を見ているのですが、この青は白地に強くて鮮明な青で、、中国の匂いを感じます。
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ateliercinicini at 2010-11-23 05:50
◆おりえんと さん
バクダッドキヨスクにあるものは、もっと手作り感、温かみのある感じですよね。 (鳥のくちばしが赤いのが面白い。) 17世紀のちょっと崩れた感じが味があって、私も好きです。 Yeni Camii(イェニモスク)へは行かれましたか? あそこも崩れた魅力のタイルがいっぱいです。 また、ブログで紹介しますね。
こんにちわ。バイラム明けにちょっとだけ時間があったので絵付け教室を急襲、
ciniciniさんのこの見事なパネルを目の前で拝見しましたよ。お見事です。 割れたタイルというのも見せてもらいましたが口惜しいですねえ。 帰りがけにお2人からのプレゼントをいただきました。ありがとうございます。 私も92年に初のトルコ旅行で見た壮絶といってもいいほどの宮殿のタイルに 圧倒されてトルコに移住してからは何度も見に行っているのですが、 一つ一つをincelemeしたことがありませんでした。 ですから、何が描かれているのかは見えていなくて、タイルの壁面全体の 印象で捕らえているのですよ。こうして細部にわたって見ていく専門知識もなく、 ただただ見てくる、というだけのタイル・ファンです。^^
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ateliercinicini at 2010-11-26 04:24
◆madamkase さん
教室に来て下さったのですね。ありがとうございます。 当日、自宅で作業をしていたものですから、お目にかかれず残念でした。 >ciniciniさんのこの見事なパネルを目の前で拝見しましたよ。お見事です。 >割れたタイルというのも見せてもらいましたが口惜しいですねえ。 ありがとうございます。私もこの作品、好きなんです。 気に入って頂けて嬉しいです。 割れたタイルが溜まって、そのうち家が建てられそうですよ。笑 タイルの楽しみ方は色々です。 全体の印象を楽しんだり、細部を見てみたり。 お好きなスタイルで楽しんでください♪ ハリチ手の訳、私、全て“金閣湾”って書いてましたね。 全く、気がつきませんでした。 “金角湾”に訂正しました。ご指摘どうも有難うございました!
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