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華やかです!イズニック多彩下絵付け

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     Süleymaniye Camii / スレイマーニエ・モスク (1557)・イスタンブル

これまでのイズニック・タイルと言えば、主色のコバルトブルーと、それに加えターコイズ
ブルー、緑(オリーブ色)、紫色で彩色された“トルコブルー”のイメージを持つ下絵付け
タイルでした。
それが16世紀後半、正確には、1557年に建設されたスレイマーニエ・モスクを飾る
タイルで初めて赤が使われ、華やかな“多彩下絵付け”が始まります。
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       赤が加わっただけで、イメージが随分とかわるものですね。

加わった赤は、トルコ語ではトマト赤、或いは珊瑚赤と呼ばれる盛り上がった赤色。
輪郭線は黒で描かれるようになり、更にエメラルドグリーン、茶色、17世紀初期には
ピンクが加わり、文字通り、多彩、豊かな彩りを見せ始めます。

スレイマーニエ・モスクから4年後、、、
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   Rüstem Paşa Camisi /リュステムパシャ・モスク(1561)・イスタンブル
 
華やかですねぇ~。 花々が咲き乱れています。
 リュステムパシャ・モスクの正面入り口にあるタイルパネルです。

部分的に拡大しますと。。。
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赤いラインの結び目の中。紫が見えますね。
とても深みがあって素敵な色ですが、華やかで艶のある赤の横では映えません。
そのためか、赤の登場すると、紫は次第に消えていきました。
残念です。紫には紫の味があり、それを活かす事も出来たでしょうに。。。

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  Eyüp Sultan Türbesi/ エユップ・スルタン廟 ・イスタンブル

マットなピンク。
赤を見慣れている目には、ピンクはちょっと不思議な感じがしますね。

そして、これは、どうでも良いことですが。。。
杉の幹が描かれたタイルの下。
本来は別のタイルが嵌められなければいけなかったのに、どっか行ってしまった
のでしょうか?
唐突に、チューリップの半身とペンチが見えます。
何気に、この場に合っている気もしますが。。。

多彩下絵付けタイル
色数が増え華やかですね。
これぞ、オスマン朝タイル!という感じがします。
モチーフもこれまで見てきたものと異なる感じがしませんか?

今回は色のお話でした。デザインについてはまた次回。


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by ateliercinicini | 2010-12-25 06:45 | 様式・文様・技法の話 | Comments(4)
Commented by miriyun at 2010-12-26 11:47
この時代のタイルは本当にデザインも色も素晴らしいですね。
おりしもシナンがその才能をスレイマン1世のもとで開花していた時期、そういう文化の力が伸びていくときって、他の工芸分野もぐんぐん工夫がなされ伸びていったんだろうと推察されます。
 ところで、壊れた後のタイルの文様や色を後世で作るのはこの時代のすたれてしまった色技術もあるし、難しいのでしょうね。でも、エユップ・スルタンについて書かれていますように、リュステムパシャの素晴らしいタイルも、下から2列目と3列目の間の文様のずれは、色とかいう前になんでこんなことになってしまったの~~~?!という感じで、以前から不思議に思っていました。
 トルコの修復事情などについてもおいおい記事にしていただくとうれしいです。
Commented by ateliercinicini at 2010-12-27 05:35
◆miriyunさん
おっしゃる通り、この時代のデザイン・色は最高ですね。
建築・芸術全ての面において自由で生き生きとした力を感じさせます。

>リュステムパシャの素晴らしいタイルも、下から2列目と3列目の間の文様のずれは、色とかいう前になんでこんなことになってしまったの~~~?!という感じで、以前から不思議に思っていました。

ほんとに、どうしちゃったの???と思わせるもの多いです。
最初は気になっていたのですが、そのような場面が多すぎて気にならなくなって
きていました。笑 

>トルコの修復事情などについてもおいおい記事にしていただくとうれしいです。

リクエスト有難うございます。是非書かせていただきますね。
Commented by madamkase at 2010-12-28 21:56 x
アップになった2枚目の写真、スレイマニエのタイルのボーダー柄はまるで小紋の着物のようですね。きれい。
ターコイズブルーと白のコントラストが赤の登場でなお冴え冴えと感じられます。
この前コメントに書いたように、私は壁一面のタイルを今まではぼーっと眺めては帰ってきていたのですが、リュステム・パシャの正面右端にあるタイルはさすがに凝視してしまいましたよ。
修復のとき、割れたタイルを捨てずに全部貼り付けたのか、順不同、模様不ぞろい、色などお構いなし、めったやたらに貼り付けた一画があって、意図的になされたものか、作業のイシチが面倒くさがってなんでもいいから貼り付けてしまったのか、理解できないのですが、それなりに人目を引くのでよくカメラを向けている人がいます。(白状すると私も)
記録に残っていないものごとは、想像するのが面白いという楽しみ方もありますが、後世の人の頭を混乱させることにもなりますね。ほんとうはどうなの? って。
Commented by ateliercinicini at 2010-12-30 05:26
◆madamkase さん
雲のモチーフは東洋的で、着物にも合いますよね。

リュステムパシャの正面右端のタイル。
タイルがあまったのか、足りなかったのかわかりませんが、職人さん達が悪気なく、
張れば綺麗だ!注文主も喜ぶぞ!と思って勝手に貼ったのではないでしょうか?
悪気のないおせっかい、困ってしまう過剰な好意。
今も昔も変わらぬトルコ人気質の現れかもしれませんね。笑
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