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逆さチューリップ

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この花、ご存知ですか?  
トルコ語で Ters Lâle (テルス・ラーレ) / 逆さチューリップ と呼ばれる花です。
インド・ヒマラヤ~イラン・トルコ東部が原産で、日本では瓔珞ユリ(フリチラリア・インペリアリス)と呼ばれています。

タイルモチーフとしては、17世紀に数例見られるのですが、、、
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かなりデフォルメされて、インパクトあります。
これは、トプカプ宮殿のハレムを飾るタイル・パネルに描かれたものです。

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大きなタイル・パネルの中で、逆さチューリップの存在感は圧倒的です。

これを手本に新たに作られたタイル・パネルを 『写真でイスラーム』のmiriyunさん が
紹介されています。アブダビのシェイク・ザイード・モスクで見られるそうです。
このシェイク・ザイード・モスク。タイルだけでなく象嵌細工の見事さ、ガラスの可愛らしさに
釘付けになってしまいました!必見です!


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逆さチューリップはこの頭を垂れたような姿から、哀悼の意を表していると言われ、
オスマン時代の墓石によく彫られたモチーフです。
現在でもトルコ東部ではお墓の周りに植えられています。
同様にその姿から、キリスト教徒の間でもイエスが磔になった際に、頭を垂れ涙した花と
され、聖なる花とみなされているのだそうです。(トルコ以外の国ではどうでしょうか?)

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スルタン・メフメッド4世に献じられたガズネヴィー(Gaznevî)アルバムの一頁 (1685)
イスタンブル大学図書館所蔵  (Nurhan Atasoy / 『Hasbahçe』より
)

また、別名 Ağlayan Gelin(アーラヤン・ゲリン) / 泣いてる花嫁 とも言われています。
花が開いた時に、花嫁の頭を飾るレースを掛け、楽器を打ち鳴らして聞かせないと、
すねて頭を伏せ、翌年花をつけないという伝承があるそう。
なかなかに気難しい花嫁ですね。

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              (Hakkarim.net よりお借りしました。) 

トルコではハッカリ、ヴァンが自生地として有名ですが、イスタンブルでも毎年、
エミルギャン公園やギュルハネ公園で見られます。
4月、チューリップの季節にイスタンブルにいらっしゃっる方、是非探して見て下さい。

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      他のチューリップより頭一つ出てる、ノッポさんです。


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by ateliercinicini | 2011-01-23 03:35 | 様式・文様・技法の話 | Comments(7)
Commented by orientlibrary at 2011-01-23 09:51
逆さチューリップって実在の花なんですね。ちょっと野性味もあり、好みです。トルコの人たちがチューリップを好きなわけ、写真を拝見しているとわかる気がしてきます。
そして、もちろん先日のアッラーとの文字の共通点ということがベースにあるのでしょうね。びっくりしました。そうなんですねえ、、今度ウズの子たちに教えてあげよう(ちゃっかり!(^_^;)))。
こちらでタイルや陶器や模様にまつわるいろんなことを知ることができて、うれしいです☆
Commented by miriyun at 2011-01-23 17:00
わ~っ!、きれいなフリチラリア・インペリアリスの写真です~。私は名を教えていただいてからフリーの画像で探したのですが、確かにこの種類でした。でもこちらのはいかにも皇帝の~とついてもおかしくない華やぎがありますね。
 でも反面、泣いてる花嫁とか、お墓にとかいう哀悼のイメージとかあるのですか。逆さチューリップのあるパネルは細長いパネルで、シェイクザイードには幅広に直したのでしょうか。それにしても幅は違いますが、文様は、う~ん、確かに同じです。
 同じときに同じものについて、なんだか面白いもので、またうれしいものです。
 こちらからもリンクさせていただかいますね!

PS質問です。ペルシア書体とともに描かれた花はとても写実的ですね。この金を多用しているものは何ですか?ずいぶん立派なもので気になりました。
Commented at 2011-01-24 00:03 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2011-01-24 00:19 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ateliercinicini at 2011-01-24 08:12
◆おりえんとさん
私も初め実在の花だとは知らず、チューリップを逆さまに描いたものなんだと
思っていたんですよ。実物を見てビックリ!
ワイルドで、チューリップと言われなければ木のようです。
ウズベキスタンのお友達へ写真付きでレクチャーしてあげて下さい。^^
Commented by ateliercinicini at 2011-01-24 08:26
◆miriyunさん
こちらのフリチラリア・インペリアリスは、やっぱり原生地だけあって元気に伸び伸び
としています。自然の中にあって、この明るいオレンジ色は映えます。
その色や華やぎに反してのイメージ付けされているのは面白いですね。
17世紀のパネルは一般に細長くて退廃的な雰囲気があるのですが(歴史的な
先入観かもしれません)、シェイク・ザイードの方は勢いがあって安定感がありますね。
同じ構図でも雰囲気は全く違い、それぞれの時代を表しているようでこれまた興味深いです。
ご質問の写真。引用元を書き忘れていました。ご指摘ありがとうございます。本文中に書き加えておきますね。17世紀にスルタンのために描かれたアルバムの一頁だそうです。花が沢山描かれています。
Commented by ateliercinicini at 2011-01-24 08:32
◆鍵コメさん
そうなんです。トルコ文化の中でチューリップは大切な花なんですよ。
あまりイメージ結びつきませんよね。

それと情報ありがとうございました。
今回はじっくりと私も鑑賞(?)してみます。^^
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