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日本人好みのタイル。17世紀ブルー&ホワイト

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17世紀タイルの代表。
Bağdat Köşkü, Topkapı Sarayı /  トプカプ宮殿 バグダード・キオスク(1638-39)


16世紀後半、オスマン芸術の絶頂期。
オスマン朝領土が拡大し建設事業も盛んになり、領土各地に新築されるモスクを装飾
する為に、次々とタイルが生産されてゆきました。
タイルの品質もこの頃が最も優れており、素地、絵の具、釉薬どれをとっても最高品質
で、絵付師の腕も比類を見ません。
澄んだ透明釉の下に描かれた鮮やかな花々は、まるで泳いでいるかの様に生き生き
としています。

それが17世紀に入ると、急速に質が劣化、色はくすみ、釉薬は濁る、図案は16世紀に
描かれたものをアレンジして使いまわすようになります。
16世紀と17世紀の作品の差を明らかに見ることにできるのが、トプカプ宮殿内で隣同士
にあるSünnet Odası(割礼の間)とBağdat Köşkü(バグダート・キオスク)のタイル画
です。 
 *Sünnet Odası(割礼の間)は17世紀に建てられましたが、外壁には16世紀の
   タイルも使用)

麒麟
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こちらが、Sünnet Odası(割礼の間)にある16世紀のサズヨルのパネルです。

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Bağdat Köşkü(バグダート・キオスク)にある17世紀のサズヨルのパネル。 
下に2頭のキリンがいるのですが、釉薬が流れてはっきりとしませんね。

花瓶
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       花瓶はすらりと上品で、ルーミーが流れるように美しい!(16世紀)

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花瓶は、どんなに花を挿しても倒れませんという位にドッシリとして、中に描かれている
ルーミーは何とも野性味があると言いますか、タクマシイ感じです。(17世紀)


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    目が鋭く、羽毛の温かみを感じさせる程生き生きとしています。(16世紀)

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   手を抜いて描かれたわけではないのですが、、、漫画チックです。(17世紀)


どうでしょう?
16世紀と17世紀の差、歴然ですね。
16世紀のタイルの方が優れていると断言できると思います。

ですが、なぜか、日本人には、17世紀のタイルの方が、圧倒的に人気があるのです。
絵付け教室に通われる方とお話ししても、断然17世紀派が多いですし、お土産用の
タイルとして17世紀もののデザインが欲しいとおっしゃる方が多いのです。

16世紀派、特にシャークル・ファンの私としては、ちょっと複雑な気持なのですが、
17世紀ブルー&ホワイトが好まれる理由を考えるに、
コバルトブルーの発色がソフトで、ターコイズブルーを多用しているのと、
釉薬が流れて滲んでいる事によって、
全体が柔らかく明るい雰囲気になっているためなのかしら?
と勝手に分析しているのですが、どうでしょう?

イスタンブルで気軽に見られる17世紀のタイルは、エミノニュにある Yeni Cami(イェニ・モスク) (1663) 、トプカプ宮殿にある Revan Köşkü (レヴァン キオスク) (1638 ) 
Bağdat köşkü (バグダード キオスク)(1638-39)です。
Yeni Cami の近くには、16世紀タイルの傑作、Rüstem Paşa Camii (リュステム
パシャ モスク)
があります。
是非見比べてみてください。




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by ateliercinicini | 2011-04-20 05:55 | 様式・文様・技法の話 | Comments(4)
Commented by madamkase at 2011-04-21 14:57 x
私の子供時代(60年前)、色のついた陶器といえば、九谷焼の皿や茶碗か、風呂屋の
カランの前に嵌められたタイルに絵が描いてあるのくらいしかおぼえがありません。
青と白、それに焦げ茶色くらいしか、一般家庭の皿小鉢にはなかったような・・・

私のブログでAtelierciniciniさんとYKさんのアクセサリーをご紹介させていただきました。
陶芸にご興味のある方へ、ということで、このサイトも文中でリンクさせていただきました。
よろしくお願いします。
Commented by ateliercinicini at 2011-04-23 06:08
◆madamkaseさん
私共の制作したアクセサリーパーツを気に入って頂けて、とても嬉しいです!
私達が、銀細工職人さんを選ぶのに、この人でもない、あの人でもないと決断せずに
のんびりしている間に、さすがmadamkaseさん!あっという間に華やかな
ペンダントトップが出来上がりましたね。すばらしい行動力!

貴ブログでの紹介どうもありがとうございます。
Commented by miriyun at 2011-05-03 16:40
舌から2番目の鳥の色と筆のタッチに似たものがトプカプにありました。知る限りではそれが一番筆がこまかかったと思います。
16世紀と17世紀の陶芸の様子がよくわかりました。
Commented by ateliercinicini at 2011-05-05 04:21
◆ miriyun さん
下から2番目の写真、トプカプ宮殿の割礼の間外壁のものなので、miriyunさんの
見られたタイルは、これですね。
このタイルが好きで、これを見るだけに何度も何度もトプカプ宮殿に通っています。

16世紀と17世紀。
同じデザインでも、これだけ雰囲気を変えることができるなんて、絵付師の仕事って
面白いですね。
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