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オスマン朝ナッカシュ・ハーネ(宮廷画家工房)

オスマン朝タイル・陶器のデザインが、同時代の絨毯や絹織物、写本の表装などに
とても似ていると思ったことはありませんか?
そうなんです。
同じ文様がアレンジされたり、中には全く同じデザインが繰り返されているのです。
宮廷で使われる品々やスルタンの装飾品などは、外部より購入することもありまし
たが、宮廷内の工房で作られるものも多く、そのデザインや細工を担当したのが、
宮廷工房に属するデザイナーや工人達でした。

オスマン朝ナッカシュ・ハーネ(宮廷画家工房)_b0206491_213646.jpg

      ナッカシュ・ハーネの様子/ トプカプ宮殿博物館図書館所蔵 
             (ヌルハン・アタソイ 『IZNIK』 より)


中でも、宮廷デザイナー達の所属していたナッカシュ・ハーネ(宮廷画家工房)は、
宮廷工人集団の最重要部門で、スルタンが直々に作業を眺めに来ることもあった
そうです。

ナッカシュ・ハーネでは、本の挿絵はもちろん、タイル・陶器、絨毯、布、刀や宝飾の
デザインからモスクの天井や壁の装飾まで、あらゆる分野のデザインを考案して
いました。
そして描かれた図案が、陶器、絨毯、メタルワーク等などの工人達の工房へと送られ、
作品が作られてゆきます。

オスマン朝ナッカシュ・ハーネ(宮廷画家工房)_b0206491_2115246.jpg

                    陶工の素地つくり
             (ヌルハン・アタソイ 『IZNIK』 より)


ナッカシュ・ハーネは、イランやバルカン半島、中東から捕虜として連れて来られた
画家達や、デヴシルメ(少年徴集制度)で連れて来られた元キリスト教徒の少年達が
主となって構成された、完全分業、徒弟制の世界です。

最初は、紙を準備する、金泥を作る、顔料を整えるなどから始まり、直線枠を引く、
色を塗る、輪郭を描く等の細かい工程に分けられた一つの仕事を来る日も来る日も
繰り返し、能力のある者は昇進していくという世界だったようです。

Orhan Pamuk の “Benim Adım Kırmızı” を読むと、そんなナッカシュ・ハーネ
の世界を垣間見る事が出来、歴史小説として、オスマン時代の装飾・絵の概念を知る
ことの出来る小説として、興味深いお勧めの一冊です。


 藤原書店から邦訳 『わたしの名は紅』 が出ていますが、
 文章が高尚過ぎて難しかった。。。
 トルコ語学習者の方は、原本が簡単でお勧めですよ。
 中級トルコ語で読めます!
 挑戦してみて下さいね。^^
 


クリック、ありがとうございます!

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by ateliercinicini | 2011-06-03 22:33 | オスマン芸術・トルコ芸術 | Comments(0)
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