カテゴリ:様式・文様・技法の話( 31 )

アディル・ジャンさんの個展 & チャナッカレ手

今月初め、
久々の夜行バスに乗って行った先はチャナッカレ。
アディル・ジャンさんの個展が目的です。

チャナッカレ セラミック ミュゼシで
2015年12月31日(09:00 - 17:00 月曜休)
まで開催されています。
http://canakkaleseramikmuzesi.org/index.php/tr/sureli-sergiler


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トルコで陶器と言うと、
イズニックやキュタフヤで見られる
白い素地に色鮮やかな彩色、
透明釉の掛かった陶器やタイルを思い浮かます。
が、
チャナッカレはそれとは全く趣を異にする陶器です。
赤土素地の上の絵付けはとてもシンプル。
黄色や緑の彩釉が賑やかです。


チャナッカレ手と呼ばれる陶器について少しばかり説明しますと、、、

チャナッカレ(都市名です)を中心とした地域で
17世紀の末位~20世紀初頭に作られていた
日用品やお土産陶器で、
タイルは生産されていませんでした。

それまでの(イズニックやキュタフヤの)伝統や宮廷様式から
かけ離れた生き生きと自由な作風です。
(不思議な程影響を受けていません)
17世紀末から18世紀のものはどちらかというとシンプル、
19世紀以降のモノはゴテゴテと装飾過多になってきています。

b0206491_20342257.jpg



その斬新で必要以上に誇張された感じが、
面白いと感じるか、グロテスクと感じるかは人それぞれ。
この子は、ライオンらしい。。。
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ライオンよりも強そうなおさる殿。
後ろに居るのはキリン様です。
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動物たちがどの子も優しい表情でイイ味出してます。
ゴテゴテ系のチャナッカレ手は苦手ですけど、
大らかな優しさが滲み出てる
アディ・ジャンさんの動物作品が大好きです。
チャナッカレ手のテクニック・伝統を汲みながら、
オリジナリティが溢れています。

欧米にはチャナッカレ手のコレクターが多いのですが、
最近ではトルコ国内でも注目が高まってきています。
私も、手元に置きたい子が2,3作品。^^
個展が終わった頃、
アトリエを訪問しようと思います。


チャナッカレはイスタンブルから車で6時間ほど。
気軽にお勧めするには、
ちょっと遠いですが、
トロイの遺跡へ行かれる方、
近くまで行かれた方は是非お立ち寄りください。



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by ateliercinicini | 2015-10-19 21:10 | 様式・文様・技法の話 | Comments(2)

素焼き高温 本焼き低温 白土に白化粧

これまで専らデザインと絵付けだけをしてきましたが、
最近、欲が出てきまして、
描きたい器形を手にするには自分たちで作るしかないと、
形成から試みてます。
なかなか時間がないので、とってもとっても遅いペース。 笑
それでも、新しい事を学んでゆくのはとっても楽しく刺激的です。

トルコではHow to 本など皆無に近い為、
分からない事は人に聞くというのが基本スタイルです。
そして、聞かれた人は、
たとえよく知らない事でも、何か答えることが親切というものだ!
と思っているトルコ人が大多数なので、
聞く人、聞く人、皆、丁寧に教えてくれます。
お陰で、私の頭は大混乱中です。 泣笑

そんな中で、最近ちょっぴりすっきりしてきたことを書いてみます。
焼成温度のこと。
化粧土のこと。


焼成温度。
日本では、
素焼きを800度前後の低温、
本焼きを1250度前後で焼成するのが一般的なようですが、
トルコタイル・陶器では、
素焼きの方が高温で、本焼きが低温になります。
逆なんです。
第一焼成はしっかりと焼き締めるのが目的で1040度、
第二焼成は釉薬(基本鉛釉を使用)に合わせての900~940度。

なので、
“素焼き”、“本焼き”という言い方は、トルコでは相応しくないのかもしれません。
(こちらでは、“第一焼成”、 “第二焼成 / 釉焼成 / 装飾焼成”といった
言い方をします。)

化粧土。
チニ(トルコタイル)の素地は、
白土の上に白化粧土が掛けられていることが普通で、
それを疑問に思ったことがなかったのですが、
以前 teppei さんに、
白い土に何故白い化粧土を掛けるの?
と聞かれて、
あっ、そう言われてみれば不思議よね?
と初めて思った訳です。

高温の第一焼成で焼き締められて、
非常に描き難い状態の地なので、
白化粧土を掛けて筆のすべりを良くする為。

というが、
おそらく、それに対する答えなのかな?
と化粧土の有無、厚薄による描き心地の違いから感じ始め、
納得し始めているこの頃です。

で、そもそも、何故、第一焼成の温度が高いのか?
教えてくれた職人さんは、
土を馴らす(トルコ語で、躾をする・従順にすると言ったニュアンスの言葉)為
という表現をしていて、
1020度以下だと思い通りになってくれないんだと言うのですが、
それが形のことなのか、強度なのか、何について言っているのか、
正確なところが未だ理解できていないので探っていこうと思ってます。


当然だと思っている昔から続く伝統や、国・地域毎の常識の中で、
“何故?”と疑問を持つ事、その答えを見つけ出してゆく事は難しい。






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by ateliercinicini | 2013-05-29 08:45 | 様式・文様・技法の話 | Comments(8)

葡萄のモチーフ - 明磁器とイズニック陶器

オスマン朝の人々は元・明時代の磁器に憧れ、
イズニックでもその模倣品を生産させていました。
中でも人気があったのが葡萄柄のお皿です。

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上がトプカプ宮殿にある明代のお皿で、下がイズニックで作られたお皿。
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中央の葡萄柄部分と抜き出して、
明代のお皿を反転したものとイズニックと比べてみるとそっくりでしょう?

b0206491_20422322.jpgb0206491_20432090.jpg三房の葡萄、九枚の葉、枝の巡り方等、構図がほぼ一致します。
おそらく、宮廷工房で明のお皿に
紙をあて絵を写取って型紙を作り、
その型紙を使ってイズニックで
絵付けされたのでしょう。

型紙はあるけれども、
お皿の現物を見ずに描いたためか、
それとも嗜好の違いなのか、
完全な模写と違って、
面白い相違点が見られます。

写実的な中国磁器に対して、
イズニック陶器では、
葉の葉脈が微妙に様式化されて
2色使いになっているし、
葡萄は整列したイクラの粒の様。
空間恐怖症のためか、
周辺に蔓を更に長くクルクルっと
伸ばしたり、
オリジナルにはない蔓を描き足して
広めの余白を埋め尽くしている。

結果、オリジナルと雰囲気の異なる
オスマンらしいデザインになっています。
「模写しなさい」と命じられたら、
日本人なら筆使いから余白、
葡萄の粒の数といった細部まで
そっくりそのまま真似ようとすると思うのですが、
この適当さ、大らかさがとっても魅力的だなと思わせるイズニックです。






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by ateliercinicini | 2012-09-22 21:53 | 様式・文様・技法の話 | Comments(2)

魅力のキュタフヤ陶器

キュタフヤは歴史的にはイズニックの華やかさの傍で影が薄く、
15世紀、16世紀とイズニックの補佐的存在でした。
それが17世紀になると次第に存在感を増してゆき、
18世紀になると完全にイズニックに取って代わります。

18世紀のキュタフヤ。
生活日用品や宗教装飾品などを多く生産しています。
それがなんとも魅力的。
東洋風?西洋風?なんだか色々と取り入れてごちゃ混ぜなところに、
更に地域的要素も加味。
真剣に描いている。
真剣なんだけど、力が抜ける。
この頃のキュタフヤ陶器が大好きです。^^

特徴は黄色。
イズニックでは使われることのなかった色です。
18世紀中葉以降は、紫色も使われます。

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 キュタフヤでは、モスク用のタイルだけではなく、教会用タイルも生産していました。
 こんなタイルが貼られた教会。
 堅苦しくなくって、優しい気持ちになりそうです。


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          コバルトブルーの使い方、何となく東洋を意識したのかな?

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           大好きなキュタフヤ人物像シリーズ!
           全体としても、真面目に描き込んでいるんですよ。
           真剣なのは分かってますが、どうして~と思わずにはいられない。


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         野原を歩いていて、こんな人に遭ったらどうしよう。。。
         遭いたいな。^^



18世紀の後半以降、キュタフヤの陶産業は衰退する時期を経ましたが、
19世紀後半から20世紀初頭にかけて再び力を盛り返します。
その時期のものは、“ハターイ様式”や“ナチュラリスト様式”など過去の
イズニックを手本にしたものが多く見られます。


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                     うん、頑張ってる!

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               この頑張っているキュタフヤも好きです。
               素晴しく練った構図に、稚拙なモチーフ。
               そのギャップに魅せられます。


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      20世紀前半の作品。
      生真面目なデザイン。
      この頃の絵の具には化粧土が混ぜられて、プクプクと膨らみをもっています。
      ここ数年流行っているキュタフヤ陶器の原型のようですね。
     

何世紀にも渡って、陶の産地であり続けているキュタフヤ。
イズニックのような洗練されたイメージはありませんが、
作り手のひたむきさや温かさを感じられるといった点で、
キュタフヤ陶器は勝っているように思えます。




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by ateliercinicini | 2011-11-05 05:40 | 様式・文様・技法の話 | Comments(12)

筆比べ -番外編-  便利な彩色道具

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               ぷっくりと盛り上がるトルコタイルの赤。

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               何度も何度も塗り重ねて盛り上げてゆきます。
               時間の掛かる根気のいる作業です。

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      これ位まで盛り上げないと、色あせたような仕上がりになってしまいます。
             

赤は粘り気のある絵の具です。
狭い面積は気が張るし、広い面積はなかなか進まなくてため息が出ます。
赤の彩色は、結構気合のいる作業でした。


それが、こんな道具発見!
9月に訪れたキュタフヤのタイル会社で使っていたアイディア彩色道具。

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          ボンド容器のような器に粘度のある絵の具や化粧土を入れて、
          容器の先にシャーペン先をくっつけたもの。
          シャーペン先をつけるというこのアイディアが良い!

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               広い面積も一気に塗れて、
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               狭い場所も、筆よりも細く塗れます。

スゴイ!はみ出さなくって便利!とっても早い!        
こちらの会社は、ホテルや駅舎などの壁面を飾るタイルを生産されています。
何事も時間に追われる現代。
一枚ずつ筆で塗るより、大幅に時間短縮できます。

スゴイ利器!
それが、どこにでもある容器にシャーペン先をつけるだけというのが益々素晴しい!
大きな作品つくりの時に試してみようと思います。


・・・・・便利そう!と私は感動したのですけど、
ひょっとして常識でした?




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by ateliercinicini | 2011-11-03 19:54 | 様式・文様・技法の話 | Comments(10)

筆比べ -2-

オスマン朝時代のイズニックとキュタフヤ。
使う筆も違えば、顔料も違い、何よりも描き手の宮廷との結びつきの強さが違いました。
そのため、同じデザインを描いても、出来上がりは全く別物。
(違いは、“筆比べ -1-” をご覧下さい。)
それぞれに個性があって、どちらもとっても魅力的。

現在。
人は簡単に行き来し、顔料や筆も自分に合ったものを選んで使うことが出来るように
なりました。
便利になった分だけ、産地による個性がほとんどなくなってしまい大変残念なのですが、
イズニックとキュタフヤのアトリエを訪れて、よーく見ると今でも見られる筆の違い。


イズニックの筆
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             イズニックのアトリエで。

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             線描きも彩色にも丸筆を使っています。

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             ラインに強弱がある伝統的イズニックです。


キュタフヤの筆
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             こちら勝手に命名“キュタフヤ筆”。

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             線描きは丸筆派とキュタフヤ筆派がありますが、
             彩色は両派ともこのキュタフヤ筆で。

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             ラインもキュタフヤ筆で描かれた代表的な棒線描き。 
             可愛い猫にはキュタフヤ筆のラインがピッタリです。





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by ateliercinicini | 2011-11-03 07:19 | 様式・文様・技法の話 | Comments(10)

筆比べ -1-

筆比べ。

書く字が皆各々異なるように、描く線にも個性があります。

でも、そんな個性の差なんて大差なし、と思わされる工房・地域による違い。


宮廷工房の筆
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              トプカプ宮殿・割礼の間壁面タイルより

鳥の羽一枚一枚、毛一本一本、細い葉脈まで丁寧に描き込んでます。
ラインの強弱が自然で生き生きとなめらか。
宮廷画家の自由自在、思うままに使いこなす筆使いに、只々、惚れ惚れ。


イズニックの筆
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                エユップ・スルタン廟より

イズニックも、ラインに強弱があってなめらかです。
宮廷から送られてくる図案に忠実に。
丁寧なライン描き、花のヒダ描きや几帳面な色塗りに、
絵付け職人さん達の真面目な仕事ぶりが感じられます。


キュタフヤの筆
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              エユップ・スルタン廟より

そして、キュタフヤ。
これぞ、キュタフヤ!
図案はあるけど、、、何となく似てればいい?
注文主が宮廷であっても、いつもと変わらぬ仕事ぶり。
歌いながら、お茶飲みながら、描いたのでしょうか。
ラインに強弱がなく、棒描きのようなのがキュタフヤの特徴。

ひどいんだけれど、憎めない。
しかも、なぜだか、魅力的。

ちなみに、同じ図案でイズニックで描かれたものは、、、、

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当然ですけど、真面目に仕事しています。






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by ateliercinicini | 2011-09-10 18:53 | 様式・文様・技法の話 | Comments(12)

モチーフの話・バラの持つ意味

冬から一気に夏に突入したイスタンブル。
家の庭でもバラが咲き、毎朝窓を開けると甘い香りが部屋の中に流れ込んできます。
バラの存在感は圧倒的です。
その美しさから思えば当然な事、オスマン朝装飾でもバラのモチーフはよく使われま
した。布や絨毯を始め、もちろん陶器でも好まれて描かれています。

ですが、コーランの挿絵やモスク・廟の壁面タイルで多用されているのは、美しいから
という以上に、宗教的シンボルとしての性格によるところが大きいと思われます。
オスマン朝でチューリップが神の変化とみなされたのに対して、バラは預言者の汗
から伸び、神の慈愛に到達する魂のシンボル
であるとされていました。

そんな意味を持つ美しいバラ。
タイル・陶器で描かれるとこんな形になります。

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              ルーブル美術館蔵 16世紀イズニック皿  
     
     お皿に描かれたバラ。
     蕾は分かり易いですが、横から見た姿、これがバラだとすぐに分かる人は
     少ないのではないでしょうか?
     なんだか脳の様で、美しいとは言い難い・・・。


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              リュステムパシャ・モスク 正面入口左壁     

     上から見たバラ、蕾、そして下(裏)から見たバラ。
     上から見たバラの図は、ペンチと同じに見えます。
     この二つを見分けるには葉を見てみましょう。
     バラの葉はふっくらと、そしてギザギザとしています。

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               エユップ・スルタン廟の外壁

     こちらも、リュステムパシャ・モスクのタイル同様に、ペンチに似ています。
     上から見たバラの花と蕾です。
     壁面装飾タイル全般に言えることですが、一枚のタイルから受ける印象と、
     それが壁一面に並んだ時に受ける印象が変わります。

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     同じタイルの並ぶ右上に一枚、サイズが異なる青地に白文字のタイルが嵌め
     込まれています。
     書かれている文字は預言者の名、ムハンマド
     タイルのサイズが異なるので、前もってここにこのタイルを嵌め込む事は
     プランになかったのだと思います、私見ですが。
     スルタン・エユップ廟を修復する際に、建築指揮をした人が命じたのか、
     タイルを張る職人さんが自らの思いで嵌め込んだのかわかりません。
     ですが、ここがムハンマドの同志アブー・アイユーブ・アル=アンサーリー
     の廟であることを想い、バラの象徴するところを考えると、バラ柄のタイル
     の上に、ムハンマドの名が置かれたことが一層意味深く感じられます。



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by ateliercinicini | 2011-06-15 06:31 | 様式・文様・技法の話 | Comments(8)

イズニック・タイル フランスから返還

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              (2011-5-19 付 HABER TURK 紙 より)

 先週、現在フランスのルーブル美術館にあるイズニックタイルがトルコへ返還される
ことになったというニュースがありました。

 19世紀末から20世紀初頭、トルコからフランス・ドイツ・イギリスなどへ持ち出された
歴史遺産や美術品は多くあり、今回返還されるタイルもその一つ。
元々はセリム2世廟(1577)の入り口を飾っていた16世紀後半のイズニックタイルです。

このタイルパネルがフランスに渡った経緯について、その真偽の程はわかりませんが、
新聞には次の様に記されていました。

    オスマン時代に宮廷の歯科医であったフランス人Albert Sorlin Dorignyが、
   1895年に始まったアヤソフィア博物館の修復に立会い、4年間に渡り相当数の
   タイルをフランスへ持ち出した。
   セリム2世廟のタイルパネルもその中の一つで、オリジナルを剥がしてフランスへ
   持ち帰り、代わりにフランスで作らせたコピー品をセリム2世廟入り口に配した。
   現在、このオリジナルを所蔵しているルーブル美術館は、このタイルパネルを盗品
   とは知らずに購入し展示していたとのことです。


美術品の窃盗、贋作作り。
被害に遭った当事者には深刻で面白がってはいけないと思いつつ、19世紀末~20世紀
初頭の混沌としたイスタンブルを彩る歴史の裏話、、、やっぱり面白い! 
国力の衰えゆくオスマン朝末期、フランス人やイタリア人、ドイツ人にトルコ人、一攫千金
を狙う山師やスパイが市井に紛れて生き生きと暮らしていたんだろうな、と想像しながら
裏道を歩いていると、イスタンブルが(胡散臭げで?)益々魅力的な街に感じられます。



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by ateliercinicini | 2011-05-25 00:49 | 様式・文様・技法の話 | Comments(5)

日本人好みのタイル。17世紀ブルー&ホワイト

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17世紀タイルの代表。
Bağdat Köşkü, Topkapı Sarayı /  トプカプ宮殿 バグダード・キオスク(1638-39)


16世紀後半、オスマン芸術の絶頂期。
オスマン朝領土が拡大し建設事業も盛んになり、領土各地に新築されるモスクを装飾
する為に、次々とタイルが生産されてゆきました。
タイルの品質もこの頃が最も優れており、素地、絵の具、釉薬どれをとっても最高品質
で、絵付師の腕も比類を見ません。
澄んだ透明釉の下に描かれた鮮やかな花々は、まるで泳いでいるかの様に生き生き
としています。

それが17世紀に入ると、急速に質が劣化、色はくすみ、釉薬は濁る、図案は16世紀に
描かれたものをアレンジして使いまわすようになります。
16世紀と17世紀の作品の差を明らかに見ることにできるのが、トプカプ宮殿内で隣同士
にあるSünnet Odası(割礼の間)とBağdat Köşkü(バグダート・キオスク)のタイル画
です。 
 *Sünnet Odası(割礼の間)は17世紀に建てられましたが、外壁には16世紀の
   タイルも使用)

麒麟
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こちらが、Sünnet Odası(割礼の間)にある16世紀のサズヨルのパネルです。

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Bağdat Köşkü(バグダート・キオスク)にある17世紀のサズヨルのパネル。 
下に2頭のキリンがいるのですが、釉薬が流れてはっきりとしませんね。

花瓶
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       花瓶はすらりと上品で、ルーミーが流れるように美しい!(16世紀)

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花瓶は、どんなに花を挿しても倒れませんという位にドッシリとして、中に描かれている
ルーミーは何とも野性味があると言いますか、タクマシイ感じです。(17世紀)


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    目が鋭く、羽毛の温かみを感じさせる程生き生きとしています。(16世紀)

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   手を抜いて描かれたわけではないのですが、、、漫画チックです。(17世紀)


どうでしょう?
16世紀と17世紀の差、歴然ですね。
16世紀のタイルの方が優れていると断言できると思います。

ですが、なぜか、日本人には、17世紀のタイルの方が、圧倒的に人気があるのです。
絵付け教室に通われる方とお話ししても、断然17世紀派が多いですし、お土産用の
タイルとして17世紀もののデザインが欲しいとおっしゃる方が多いのです。

16世紀派、特にシャークル・ファンの私としては、ちょっと複雑な気持なのですが、
17世紀ブルー&ホワイトが好まれる理由を考えるに、
コバルトブルーの発色がソフトで、ターコイズブルーを多用しているのと、
釉薬が流れて滲んでいる事によって、
全体が柔らかく明るい雰囲気になっているためなのかしら?
と勝手に分析しているのですが、どうでしょう?

イスタンブルで気軽に見られる17世紀のタイルは、エミノニュにある Yeni Cami(イェニ・モスク) (1663) 、トプカプ宮殿にある Revan Köşkü (レヴァン キオスク) (1638 ) 
Bağdat köşkü (バグダード キオスク)(1638-39)です。
Yeni Cami の近くには、16世紀タイルの傑作、Rüstem Paşa Camii (リュステム
パシャ モスク)
があります。
是非見比べてみてください。




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by ateliercinicini | 2011-04-20 05:55 | 様式・文様・技法の話 | Comments(4)