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ダマスカスに残るオスマン朝『ダマスカス手』タイル

今回はダマスカスの宗教建築物で見られる『ダマスカス手』タイルを紹介します。

ダマスカスに残るオスマン朝『ダマスカス手』タイル_b0206491_6564273.jpg

        艶のある紫と鮮やかなターコイズブルーが目を引きます。
           スレイマーニエ・モスク  /  ダマスカス

1516年にセリム1世がマムルーク朝を破りシリアを占領し、1517年1月には
カイロに侵攻して、この地におけるマムルーク朝の支配が終焉。
その後シリアを初め、アフリカ、地中海と広範囲で、帝国の力を示すかの様に
次々とオスマン朝建築が建てられることとなります。

1530年代からイズニックで作り始められたいわゆるダマスカス手は、16世紀
後半になると、ダマスカスで建てられたオスマン建築を飾るタイルとして各所で
見られ始めます。
ダマスカスで見れらるタイルには、イズニック産とダマスカス産タイルの両方が
使われているようです。

トップの写真は、スレイマーニエ・モスクのもの。
宮廷工房でデザインされた典型的なルーミー・ハターイ様式のタイルです。
構図も安心感があり、筆致も流麗。綺麗ですね。

ですが、私の惹かれたのは、これです。
シナーニエ・モスクの正門上にあるタイルパネル。
ダマスカスに残るオスマン朝『ダマスカス手』タイル_b0206491_7205742.jpg

すこしアップにすると、、、
ダマスカスに残るオスマン朝『ダマスカス手』タイル_b0206491_7224261.jpg

等間隔に生える杉の木を覆う様にバラとカーネーションが左右から長く伸び、
アヤメやヒヤシンス、梅も側で支えるように生えています。
実際の植物の大きさの比率を無視してしまう大胆さ!
青地に緑と白だけでこれだけ生き生きと描ける表現力!
綺麗だとか、繊細だとか言う言葉とは無縁ですが、宮廷様式の整ったタイルよりも、
このダマスカスの自由なタイルの方が、私にはより魅力的に感じられます。

そして、ここはサラディン廟です。
ダマスカスに残るオスマン朝『ダマスカス手』タイル_b0206491_7401849.jpg

ちょっと、見辛いかと思いますが、写真中央にあるのは花瓶から伸びる花々。
花瓶はルーミーです。
花々の中で、アヤメが存在感があります。
印象ですが、シリアで見たタイルではアヤメがよく描かれているような。。。
このあたりでアヤメは何か意味を持つ花なのでしょうか?
そもそも乾燥地帯とアヤメって、あまりイメージが結びつかないのですが。。。
この花瓶の左に生える、ゲジゲジ茎の植物はナツメヤシの木かしら?

ダマスカスに残るオスマン朝『ダマスカス手』タイル_b0206491_85495.jpg

ブドウの一粒一粒の色を微妙に変えたり、葉っぱも2色使いで陰影を出したり
する細やかさがある一方、全体に雑なお仕事。。。
このアンバランスさが面白いですね。

ダマスカス。
ここでは紹介しきれない程、魅力のあるタイルが沢山ありました。
また、別の機会にご紹介したいと思います。


+++++

余談ですが、トルコでは観光客のよく訪れるモスクや廟では、自由に写真を
撮ることができますが、場所によっては管轄官庁の撮影許可が必要です。
その手続きに、数日かかりです。

昨年ダマスカスを訪れた際、幾つかのモスク・廟では撮影禁止でしたので、
1日つぶす覚悟で、役所に撮影許可を取りに行ってきました。
申請、インタビュー、許可証発行まで、なんと30分!素晴らしい~。
このお役所手続きの早さ、人々の仕事のてきぱき度に感動してしまいました。
住むのと観光とはまた違う面が出てくるのでしょうけれど、もう、この瞬間から
シリア贔屓になってしまった私です。大好き、シリア!


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by ateliercinicini | 2010-12-10 08:37 | タイル・陶器・工房散策 | Comments(2)
Commented by orientlibrary at 2010-12-10 08:54
シリアに行きたくなりました〜、今、すっごく。
私もシリアのブルー&ホワイトやセージグリーンが大好きなんです。でも自分の写真があまりないので、こちらでタイルをしっかりと拝見できてとてもうれしいです。
爽やかですよね〜☆シリア自体が爽やかとはあまり思いませんが、地中海的な感性が少し入ってくるんでしょうか。爛熟系が苦手な私、相当に好みです。
あ〜〜、シリア行きたい〜。。
Commented by ateliercinicini at 2010-12-10 21:08
◆おりえんとさん
素敵ですよね~、シリアのタイル。おりえんとさんの好みに違いないと思ってました。笑
飛んで下さい、シリアへ!
シリア、私も何度でも行きたい!只、問題は、どこにタイルがあるのか分からない事。
資料やガイドブックが少なすぎるし、闇雲に歩いても出会えないですし。。。
シリア・タイル情報に詳しい方、募集中です!
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