今回はダマスカスの宗教建築物で見られる『ダマスカス手』タイルを紹介します。
艶のある紫と鮮やかなターコイズブルーが目を引きます。 スレイマーニエ・モスク / ダマスカス 1516年にセリム1世がマムルーク朝を破りシリアを占領し、1517年1月には カイロに侵攻して、この地におけるマムルーク朝の支配が終焉。 その後シリアを初め、アフリカ、地中海と広範囲で、帝国の力を示すかの様に 次々とオスマン朝建築が建てられることとなります。 1530年代からイズニックで作り始められたいわゆる『ダマスカス手』は、16世紀 後半になると、ダマスカスで建てられたオスマン建築を飾るタイルとして各所で 見られ始めます。 ダマスカスで見れらるタイルには、イズニック産とダマスカス産タイルの両方が 使われているようです。 トップの写真は、スレイマーニエ・モスクのもの。 宮廷工房でデザインされた典型的なルーミー・ハターイ様式のタイルです。 構図も安心感があり、筆致も流麗。綺麗ですね。 ですが、私の惹かれたのは、これです。 シナーニエ・モスクの正門上にあるタイルパネル。 すこしアップにすると、、、 等間隔に生える杉の木を覆う様にバラとカーネーションが左右から長く伸び、 アヤメやヒヤシンス、梅も側で支えるように生えています。 実際の植物の大きさの比率を無視してしまう大胆さ! 青地に緑と白だけでこれだけ生き生きと描ける表現力! 綺麗だとか、繊細だとか言う言葉とは無縁ですが、宮廷様式の整ったタイルよりも、 このダマスカスの自由なタイルの方が、私にはより魅力的に感じられます。 そして、ここはサラディン廟です。 ちょっと、見辛いかと思いますが、写真中央にあるのは花瓶から伸びる花々。 花瓶はルーミーです。 花々の中で、アヤメが存在感があります。 印象ですが、シリアで見たタイルではアヤメがよく描かれているような。。。 このあたりでアヤメは何か意味を持つ花なのでしょうか? そもそも乾燥地帯とアヤメって、あまりイメージが結びつかないのですが。。。 この花瓶の左に生える、ゲジゲジ茎の植物はナツメヤシの木かしら? ブドウの一粒一粒の色を微妙に変えたり、葉っぱも2色使いで陰影を出したり する細やかさがある一方、全体に雑なお仕事。。。 このアンバランスさが面白いですね。 ダマスカス。 ここでは紹介しきれない程、魅力のあるタイルが沢山ありました。 また、別の機会にご紹介したいと思います。 +++++ 余談ですが、トルコでは観光客のよく訪れるモスクや廟では、自由に写真を 撮ることができますが、場所によっては管轄官庁の撮影許可が必要です。 その手続きに、数日かかりです。 昨年ダマスカスを訪れた際、幾つかのモスク・廟では撮影禁止でしたので、 1日つぶす覚悟で、役所に撮影許可を取りに行ってきました。 申請、インタビュー、許可証発行まで、なんと30分!素晴らしい~。 このお役所手続きの早さ、人々の仕事のてきぱき度に感動してしまいました。 住むのと観光とはまた違う面が出てくるのでしょうけれど、もう、この瞬間から シリア贔屓になってしまった私です。大好き、シリア! クリック、ありがとうございます! にほんブログ村
by ateliercinicini
| 2010-12-10 08:37
| タイル・陶器・工房散策
|
Comments(2)
Commented
by
orientlibrary at 2010-12-10 08:54
シリアに行きたくなりました〜、今、すっごく。
私もシリアのブルー&ホワイトやセージグリーンが大好きなんです。でも自分の写真があまりないので、こちらでタイルをしっかりと拝見できてとてもうれしいです。 爽やかですよね〜☆シリア自体が爽やかとはあまり思いませんが、地中海的な感性が少し入ってくるんでしょうか。爛熟系が苦手な私、相当に好みです。 あ〜〜、シリア行きたい〜。。
0
Commented
by
ateliercinicini at 2010-12-10 21:08
◆おりえんとさん
素敵ですよね~、シリアのタイル。おりえんとさんの好みに違いないと思ってました。笑 飛んで下さい、シリアへ! シリア、私も何度でも行きたい!只、問題は、どこにタイルがあるのか分からない事。 資料やガイドブックが少なすぎるし、闇雲に歩いても出会えないですし。。。 シリア・タイル情報に詳しい方、募集中です!
|
アトリエ・チニチニより
イスタンブルの新市街、
シシリ・ジャーミー近くにて の~んびりトルコペースで タイル画制作をしています。 お近くにお越しの際は、 お気軽にお立ち寄り下さい 。^^ ◆ タイル絵付け教室 【定期コース】 ご都合の良い日時に受講 して頂けます。 予約制ですので、不定期 にしかお時間のとれない 方にもご参加頂けます。 【短期フリー制作コース】 作りたい作品を集中して 制作するコースです。 オリジナルデザインの タイルのプレゼントや、 表札の自作など、 目的に合わせ、 短期間で仕上げて 頂けます。 【体験コース】 制作時間2~3時間 旅行者の方もお気軽に どうぞ。 ◆作品について ブログに掲載した作品へのお問い合わせは、メールでお願い致します。 アトリエ販売もしております。 ◆作品、タイル教室に 関するお問い合わせ istanbultile@gmail.com へ。 旅行口コミ情報 カテゴリ
絵付け教室 日々の絵付けと作品と ヤズマ(木版プリント)・草木染 様式・文様・技法の話 オスマン芸術・トルコ芸術 イスタンブルで大学生活 イスタンブルの日常生活 タイル・陶器・工房散策 (陶器以外の)工房・お店巡り 展覧会・作品展 モスク・廟巡り トルコ国内旅行 日本 旅 おすすめ本 ご挨拶 アトリエ・チニチニ Tokyo 最新の記事
最新のコメント
記事ランキング
フォロー中のブログ
写真でイスラーム イスラムアート紀行 はなももの別館 トルコ~スパイシーライフ♪ 陶芸つれづれ 器と暮らし 陶房 火風水だより 南エーゲ海・ボドルム陶芸生活 Cinq lapins NO ANCHOVY, ... 絵と毎日とおしゃべりと ... わんわんぶー 地中海とエーゲ海が出会う... Cinq lapins ... 外部リンク
以前の記事
検索
タグ
イスタンブル生活(213)
作品作り(127) タイル絵付け教室(113) 陶小物作り(72) イスタンブル(55) 引きこもり生活(44) 展覧会・作品展(36) トルコタイルの話(32) イズニック(32) タイル・陶器・工房散策(30) 伝統芸術・工芸(28) 旅(26) 様式・文様・技法(23) 日本(12) 大学生活(11) 工房・骨董品屋・お店 etc.(9) キュタフヤ(9) トルコ国内(6) 工房・骨董品屋・お店 etc.(6) シリア(6) ブログパーツ
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||