トプカプ宮殿・割礼の間 トルコタイルと聞いて、一番最初に思い浮かぶ花は“チューリップ”ではないでしょうか? トルコでは“花と言えばチューリップ”と瞬時に、そのイメージが浮かべられる程に、 色々な場所で様々な素材の上に描かれて、私達の脳裏にすりこまれています。 タイルをはじめ、カフタン(スルタンの衣装)、ハット(書道)、テズヒップ(書の装飾)、 細密画、螺鈿細工等など、、、 チューリップの形で“Ya Allah” チューリップ模様のカフタン 男性が着るのですが、、、派手ですね。。。 では、どうしてチューリップなのでしょうか? チューリップは元々、アナトリアからカザフスタンにかけて自生する野草です。 それがアナトリアではセルジューク朝時代に入ると、好んで庭園で育て愛でられるように なりました。 可愛らしい、綺麗な花だから好かれたのは勿論でしょうが、チューリップは象徴的な意味 を持つ為、他の花とは別の思いで愛されたといいます。 ペルシャ語・トルコ語で、チューリップは Lâle(ラーレ)。 アラビア文字で表記すると、 لاله 。 アルファベット Lam - Elif - Lam - He からなります 。 神 Allah (アッラー)は、 الله : Elif - Lam -Lam - He 。 順は異なりますが、同じアルファベットから成り立っています。 こういった訳で、“神が形を変えて現れた姿=チューリップ”と捉えられ、人々は チューリップに神聖さを感じ、モスクや、廟、墓石など宗教的な場で頻繁に描かれた のだそうです。 アヤソフィア内図書館 リュステム・パシャ モスク 枝や葉がチューリップを突き抜けて伸びていたり、チューリップが岩を貫いていたり、、、 皆、とっても元気で逞しいですね。 クリック、ありがとうございます! にほんブログ村
by ateliercinicini
| 2011-01-14 22:36
| 様式・文様・技法の話
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Comments(6)
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teppeiyama at 2011-01-15 09:41
ラーレはアッラーの化身なのか。。
ナルホドねぇ、と嫁さんと共にうなずいてしまいました。 大学でこういうのも教わるんですか?
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ateliercinicini at 2011-01-15 19:36
◆teppeiyamaさん
当時の人々の信仰心の深さとかって想像するしかないので、この話が正しいのか、 後から作り上げたものなのかわかりませんが、なるほど~と思わせますよね。 大学では、トルコ美術史、トルコ・チニ・陶器史という授業があり、興味深い講義です。 これも、授業で習いました。 トルコ美術史ってウイグルから始まるんですよ。 アナトリアの古代文明・ギリシャ・ローマを完全無視。 トルコ民族の美術史なんですね。 知らない事ばかりでとても新鮮です。
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miriyun at 2011-01-19 17:10
一見、西洋の仲間のように見えるトルコが実はウィグルからの流れというのが遊牧・生活・工芸に笑いの世界まであることにとても興味深く思ってきました。言語も一致しているので、ウィグル人からトルコまでは留学や商売でも苦になることなくつながります。これってすごいことです。これらをつないで見ることが困難なので、トルコ美術史、興味が尽きません。
ラーレとアッラーが同じ文字を使っていることを重視したことは大いにありえそうです。ペルシアでも文字の中に意味ある数字をしのびこませたり、同じ文字を入れ込んだりしているくらいですので、同じ文字だけからなるラーレは素晴らしいでしょう!
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ateliercinicini at 2011-01-20 04:30
◆miriyun さん
地理的にお隣のギリシャよりも、遠く離れたウイグルに強く繋がっているものが 多い事、本当に興味深いです。 ウイグルから流れる歴史や美術の上に、イスラーム化以降、更に華やかに 発達した文化芸術は実に魅力的です。 それが、アラビア文字からラテン文字に変わった時点以降、急速に様相を 変えてしまったのが残念に思われます。 言葉・文字は文化そのもの。 戦後の日本、漢字を棄てなくてよかったと心から思います。
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sagan
at 2019-02-16 03:06
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トルコ旅行から帰ってきて国内でチューリップがやたらと目についたのを思い出して検索してこちらにきました。
興味深い話をありがとうございます。 ところでエディルネのセリミエモスクの柱にもチューリップが彫られていましたが逆さまでした。 イスタンブールの地下宮殿のメデューサも逆さまになってたり横向きでしたがこれには何か理由があるのでしょうか?
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ateliercinicini at 2019-03-13 04:19
◆sagan さん
お返事が大変大変遅くなってしまって申し訳ありませんでした。 エディルネの逆さチューリップについては、幾つか伝説があるようですが、実際のところ、その理由は分からないようです。 建築家自身、何も書き残していませんから理由は知るすべもないのですが、それが、後世の人間が色々と想像を膨らませることが出来て良かったのかもしれませんね。 メデューサの首についても謎ですね。。。
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