トルコタイルで、“虫”に挑戦!!!

最近のタイル作りです。

オスマン朝タイルは、モスクや廟といった宗教的建築物を装飾する目的で制作されて
いる為、植物文様が主に使われています。
宮殿や私邸を飾るタイルの中には、魚や鳥などの動物を描いたものも見られますが、
それはとても稀です。

一方、私は動物や虫が大好きです。見るのも描くのも。
タイル画を描く時も、ちょこんと葉っぱの上に虫をとまらせてみたりします。
この小さい虫、誰か発見してくれるかな~と考えながら描いていると楽しくなります。

ですが、トルコ人の中には、“動物は何とかOKだけど、虫なんて・・・”と顔を歪めて
露骨に嫌がる人が多いので、虫を描くこと、かなり冒険なんです。
(やっぱり、不快感を与えたくないですから。。。)
それでも描きたいんです!と、私も意固地になりまして、とりあえず、可愛らしい
ところ、蛍やてんとう虫から始めてみました。


先日の授賞式で、賞への返礼としてタイル画を贈りました。
“自分らしい作品を贈って下さい。”という大学側からのメッセージに従って、
描きました。 虫。 蛍、3匹 !!! 
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大丈夫だと思うんだけど。。。う~ん、やっぱり心配。
勢いで蛍を描いてはみたものの、気が小さいので、前もってトルコ人数名に見せて
反応を見てみることにしました。
中には 「なんで、虫なんか描くの? 」と、蛍をモチーフとして使うという発想自体、
理解できない、と言う意見もありましたが、多数は、「蛍。面白ね!」 と好評な様子。
(と、勝手に受け取る。)
大丈夫、受け入れてもらえそうです。
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受け取られたサバンジュさんも、顔をしかめてなかったし(よく見えなかっただけ?)、
この調子で  どんどん描いていこうかな?
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# by ateliercinicini | 2010-11-19 03:19 | 日々の絵付けと作品と | Comments(2)

修復終了!-Süleymaniye & Mihrimah Sultan Camii

Süleymaniye Camii(スレイマーニエ・モスク)と Mihrimah Sultan Camii 
(ミフリマー・スルタン・モスク)
の長い、長い修復が漸く終わり、礼拝に(観光にも)
開かれることになりました。
イスラム圏では昨日16日から犠牲祭が始まったのですが、この大切な犠牲祭の
礼拝に合わせての再開です。

この二つのモスクは、いずれもイスタンブルにありオスマン朝芸術の最盛期16世紀に
建築家ミマル・シナンによって建てられたモスクです。
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Süleymaniye Camii (スレイマーニエ・モスク) 
イスタンブルへ来られた方は、おそらくこのモスクの名前を一度は耳にされたのでは
ないでしょうか?中には実際に足を運ばれた方もいらっしゃると思います。
1550年から1557年まで、7年の歳月をかけて建てられたオスマン建築の最高傑作と
言われるモスクです。
金閣湾沿いを歩きながら見るスレイマーニエ・モスクの姿は本当に素晴らしいのです。
日々の小さな不平不満、ネガティブな思いをあっという間に霧散させてしまいます。
このモスクは2007年始まった修復の為、閉まっておりました。
3年を経て漸くの再開です。

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そして、イスタンブルEdirnekapı(エディルネカプ)にあるMihrimah Sultan Camii 
(ミフリマー・スルタン・モスク)
 。

スルタン・スレイマンの娘ミフリマーの為に、1562年から1565年にかけて建てられた
モスクです。
シナンが3年で建てたモスク、なんと11年もかかっての修復でした。
(しかも、隣接するメドレセや庭にある施設の一部は未だ修復中)
何事も、のんびりなトルコにおいてでさえ、この修復の遅さはヒドイ!
勿論、丁寧な仕事故の遅延ではありません。

再開を記念して礼拝へやって来たタイイップ・エルドアン首相も、
「・・・ミマル・シナンが3年で建設したところを、11年も修復にかかっている。
残念ながら、我々は後退していると言わざるを得ない。・・・」
と挨拶されていました。
ホントにねぇ。。。他に言葉がありません。

兎に角、二つのミマル・シナン作品が、修復され開かれたことは嬉しい事です。
近々、モスク散策に行ってきます。


上の写真は “Mimari Sinan Eserleri” よりお借りしました。
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# by ateliercinicini | 2010-11-17 20:37 | モスク・廟巡り | Comments(0)

感謝!『サークップ・サバンジュ芸術賞』頂きました!!!

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               (サバンジュ家の方々と受賞者一同)

『サークップ・サバンジュ芸術賞』(*)を受賞しました!とっても嬉しいです!
大学を卒業できた時は涙が出そうな嬉しさを感じましたが、今回の受賞は涙なし、
踊り出したい嬉しさです。(踊れないんですけどね。)
大学を卒業した時点で受賞の可能性はあったものの、私の場合トルコ国籍所持者
ではないために最後まで保留。落ち着かない状態でした。
授賞式の3週間程前にようやく外国人でも問題なしとの連絡を頂き、正式に受賞が
決まりました。
寛大なサバンジュさん、ありがとうございます!!!
これからも、タイル画制作、頑張ります!

11月9日にサバンジュ博物館で行われた授賞式では、私が単身トルコに来て以来、
いつも気にかけ支えてくれた3人の友人&その娘さんに見守ってもらって、終始笑い
続けた幸せ一杯の一日となりました。

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今は組織に属して制作活動をしている訳ではなく、「職業は『タイル画作家』です」と
言っても、あくまで“自称”。
自分で言うのも何ですが、私、胡散臭い事この上ない者です。
故に、つい小声で自己紹介をしてしまいがち。
今回、賞を頂いた事で、「タイル画作家です」とちょっぴり声量上げて言えそうです。




『サークップ・サバンジュ芸術賞』 (Sakıp Sabancı Sanat Ödülleri )。
 サバンジュはトルコの財閥の一つ。
 そのサバンジュ・グループの先代会長であるサークップ・サバンジュ氏は
 トルコ芸術の大支援者で、1994年に『サークップ・サバンジュ芸術賞』を
 設けました。以来毎年、サバンジュ財団は、ミマルシナン芸術大学の“絵画”、
 “彫刻”、“伝統トルコ芸術”の3学科の卒業生上位3名にこの賞を授与し
 続けています。
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# by ateliercinicini | 2010-11-13 19:19 | イスタンブルで大学生活 | Comments(14)

Haliç İşi (ハリチ イシ) / ハリチ手

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オスマン朝のブルーアンドホワイト3様式より2つ目の紹介です。
Haliç İşi(ハリチ手)
Haliç(ハリチ)とは、トルコ語で“金角湾”のこと。
渦巻きを配したような模様をもつこのタイプの陶器は、当初イスタンブルの金角湾近辺で
生産されていたと考えられていました。
そして、実際にその地域での発掘で破片が出土した事から、『ハリチ手(金角湾手)
と呼ばれるようになったのです。

ところが、その後の調査で、イズニックの窯跡から破片が多く出土し、主な生産地は
イズニックであるという事が明らかとなりました。
一方、イスタンブルの金角湾付近の窯跡からはハリチ手の破片が見つからず、先に
出土したものはおそらく日常使いされていた製品の破片であろうと今では考えられて
います。
この様に、『ハリチ(金角湾)手』もまた、ミレトス手同様に、早とちりで名付けられて、
定着してしまった名前です。
この紛らわしい名を避けて、『Helezoni Tuğrakeş (渦巻状トゥーラケシ)様式 』
という名で呼ぶケースもあります。
(スルタンのトゥーラ(花押)装飾に用いられたためです)
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  Üç Şerefeli Camii (ユチ・シェレフェリ・モスク)1437-47 / エディルネ
        (アラビア文字の背景に大きな渦巻きが描かれています。)
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  Çoban Mustafa Paşa Türbesi (チョバン・ムスタファ・パシャ廟)1528 / ゲブゼ
       (渦巻きが巻ききっていませんが、なんとなくハリチ手らしい。)

ハリチ手によるタイルの作例は数える程しかなく、多くは皿や壷に描かれました。
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                 (『IZNIK』 Nurhan Atasoy より)

ちなみに、トルコのお土産物屋さんでは、
「このハリチ様式の渦巻き一つ一つはイスタンブルの七つの丘を象徴します。
イスタンブルの思い出として素敵なお土産ですね!」
とお話されることがあります。
そう言われると、あらっ 不思議!
渦巻きが丘に見えてくる?!
本当に旅の記念に最適に思えてくるではないですか。。。
もぅ、ホントに根拠がないのにもっともらしい話を作りあげるのが上手なんだから!
天晴れトルコ商人!拍手!!
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# by ateliercinicini | 2010-11-12 04:55 | 様式・文様・技法の話 | Comments(0)

Baba Nakkaş (ババ ナッカシュ)様式

15世紀後半、いよいよ、宮廷工房でデザイナー達が次々と図案を生み出し始め、
オスマン朝文化が華やかに展開してゆきます。
まずはオスマン朝ブルーホワイトの3様式(ババ・ナッカシュ、ハリチイシ、サズヨル)
のうち、Baba Nakkaş (ババ・ナッカシュ)様式 から、ご紹介したいと思います。

ババ・ナッカシュ様式は、宮廷デザイナーの第一人者ウズベキ出身のBaba Nakkaş(ババ・ナッカシュ) のアトリエから生まれました。
(トルコ語でババはお父さん、ナッカシュはデザイナーです。デザイナー達の親父さん
的な方だったんでしょう。)

ルーミーとハターイ様式を巧みに組み合わせ、他に、中国雲、幾何学文様、アラビア
文字をモチーフとして使いました。
と言うと、とても普通?な古典装飾に思えますが、伝統的なモチーフを極めてオリジナ
リティーある形で描いているのです。
私、最初に見た時、
「これって、ありですか?ババ・ナッカシュさん遊んでる?」
と思いましたもの。

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               (ババナッカシュ流ハターイ。)
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                      (ペンチ。)
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           (巨大なルーミー。もう何とコメントしていいのか。。。)

葉先をくるりと内に覆いかぶせるような葉や、渦巻きを描いたような丸い輪郭線を
持つハタイやペンチ、シイタケの断面図あるいは凧のようなルーミーなど、馴染みの
伝統的モチーフを一つ一つ個性的に三次元的な感じを与え表現をしています。
どうでしょうか?お好みですか?
私は、、、好きなんです。描いてて楽しいのですよ。

ババ・ナッカシュ作品の重要性は、諸々の点で“初尽くし”な事です。
まずは、前述した通り、ルーミーとハターイ様式を組み合わせて初の宮廷様式を
作り出したこと。これは、チニ・陶器に限らず、テズヒップやメタルワークでも見られます。
チニ・陶器においての“初”は、それまでの赤土にかわり初めて磁器に似た石英を多く
含む白土が用いられた事、そしてその生産のために宮廷とイズニックとを繋ぐ生産ライン
が起こされた事です。
宮廷がチニ・陶器生産に本格的に力を入れ始めたことを示しています。

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ババナッカシュ、タイル作品は少なく、ほとんどがお皿や壷といった陶器作品です。
1470年代から1520年代にみられるババナッカシュ作品、初期の作品は、当時流行
していた中国青花の構図を模したタイプです。
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濃い藍地に白抜き模様で、息が詰まりそうになる程に密度濃く埋め尽くしています。
モチーフ一つ一つが同じような大きさで描かれ、几帳面で硬いイメージを与えます。
かなり高度に練られた構図です。
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時代が下るにつれ、反転し白地に青で描かれるようになり、余白が多くとられ、モチーフに
大小のメリハリが見られます。
よく考えられた構図であることには変わりありませんが、初期に硬いイメージに比べると、
肩の力が抜けた感があります。

ババナッカシュ様式、デザインにはくだけた様な面白みがありますが、やはり宮廷デザ
イナーの手によるものですから、構図や絵付けの美しさ、器の質の良さは最高です。
前回紹介したミレトス手と同時代のものなのです。
宮廷使いのお皿と、一般大衆用のお皿。
違いますねぇ~。
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# by ateliercinicini | 2010-11-05 21:35 | 様式・文様・技法の話 | Comments(2)